生産性とは

昨年「生産性革命」という施策が打ち出され、今まで日本人にはなじみの薄かった「生産性」という言葉が頻繁に使われるようになってきましたが、皆さんはこの言葉をどのように受け止めているでしょうか?

「生産性革命」の概要は以下の通りです。(参照:内閣府資料)

名目GDP600兆円を目標に、3つを柱とした政府の施策
1.「稼ぐ力」を高める企業行動を引き出す
2.新時代への挑戦を加速する
3.個人の潜在力の徹底的な磨上げ

その中でもとくに、政府は、AI、IoT、ビッグデータ、ロボットなどのイノベーションへの参入、先端技術の導入、設備投資、人材への投資に力を入れるように促しています。

そして、企業による設備や人材への投資※に対しては、固定資産税、法人税減税などの優遇措置も策定されています。(※ここでの人材への投資とは、社員の賃上げやスキルアップへの投資を意味します。)

企業の側から見た「生産性革命」

成長戦略という観点から見れば、どの企業も売上や生産の目標は前年度を上回るように設定していますし、その達成に向けた行動計画も立てています。

また、競合に負けないように、ほとんどの企業では、商品開発、新規事業などへの投資やチャレンジを必然的に行われています。

設備投資に関しては、すでにコンピュータープログラムやロボットなどが、人に替わって多様な仕事を行っていますし、メガバンクのAI導入による、数千人規模のリストラの発表は、大きな話題にもなりました。

今回の政策には、設備投資に対する優遇措置も盛り込まれており、今後さらに高度にプログラミングされたAIやロボットなどが開発されれば、各企業は投資能力に応じて、広範な領域での自動化を進めていくことは確実です。

そして、「人材への投資」ですが、政府は、社員の給与を3%以上賃上げし、人材投資(スキルアップ研修など)を行う企業には、法人税を下げるという方針を打ち出しています。

「人手不足で、社員の潜在力の底上げが急務になりました。賃上げとスキルアップを行う企業には、法人税を下げます。」というのがその主旨となります。

しかし、この「人材への投資」に関しては、かなりグレーに感じる経営者が多いのではないでしょうか?なぜならば、この「生産性革命」の中で、一番予測が立てにくく、不確定要素が多いのが、この「人材」への投資だからです。

その理由を「生産性」という観点から見ていきましょう。

「生産性」とは

「生産性」の定義は、「基本的に人や物などに投じられるインプットと、そこから得られるアウトプットの比較で測られるもの」です。

実務レベルでの「生産性」の定義は、「労働者一人あたりが一定期間内に生み出す成果の量」となります。

これらは通常、金額や数量で測定することができます。

ざっくりとした例ですと、

□1億円の投資をしたロボットが今までの何倍もの仕事をし、今までの人件費より返済金額や維持費が少ないのであれば、そこには「生産性」があるということになります。

□年収、営業経費、雑費も含め、人件費が年間1000万円かかる営業社員が、年間900万円の売上成績しか上げられなかったとしたら、そこには「生産性」がないということになります。

□1時間に5つの事務処理をこなす人と、20の事務処理をこなす人では、その生産性が4倍違ってくることになります。

AI、コンピューター、ロボット、生産ラインなどの設備は、人に替わって、どれくらいの仕事をしてくれるかがデータとして公表されているので、「生産性」の予測が立てやすく、投資もしやすくなります。

ところが、人の場合はそうもいきません。給与を上げたり、教育研修を行ったからといって、必ずしも「生産性」が上がってくるとは限らないのです。そうなる場合もありますが、そうならない場合もよくあるからです。

そのために、皆さんの投資が無駄になることも往々にして起こるわけです。

つまり、「生産性」という観点でみた場合、AIやロボットへの投資に比べ、「人」への投資は、その予測と結果の間に生じる誤差、不確実性が多すぎるため、グレーに映ってしまうのです。

不確実性を減らしていくためには

某スポーツクラブの経営者は、ある社員に50万円以上を投じ、必要な資格を取得してもらおうとしたところ、途中で突然辞められてしまい、投資がそっくり無駄になってしまったと、非常に嘆いていました。

生産性が上がらないのに「賃金を上げてほしい」と主張する社員も結構います。

このような状況は、ベンチャー・中小の至る所で見られますよね。

そうした状況の中、「人材への投資」をしたところで、果たして「本当にリターンは見込めるのか?」「本当に生産性が上がるのか?」と感じている経営者はかなり多いのではないでしょうか?

「人材への投資」は、設備投資に比べて、不確実性が多い分野であるということは明らかです。その不確実性を減らし、確実性を増やしていくためには、今後、「人」を見極める知識と情報が不可欠になっていきます。

以下の動画で、そのコンセプトをお伝えしています↓

チームづくりの原理原則

社員の「生産性」を向上させることが、きわめて重要であることに疑いの余地はありません。しかし、「人材への投資」は正しく行われなければ、無駄に終わってしまうことになります。

生産的な人とそうでない人を見極める方法を学んでください。そうすることで、皆さんのチームは、より安全で安定した有能なチームになっていくでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事

  1. フィードバックのススメ

  2. 従業員との面談について

  3. チームを再び団結させるには !

  4. 組織図とは

  5. パフォーマーを育てるには?

  6. 社員のやる気が落ちてきたら

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。