二代目・三代目社長が出くわす壁

今回はとくに、中小企業で事業を引き継ぐ2代目、3代目の経営者に向けて情報を発信したいと思います。

この世界では、企業や国家は、成長していくか衰退していくかのどちらかです。どの経営者であれ、主要な経営指標は右肩上がりであることが望ましく、下降傾向ならば緊急で何か手を打たなければならないということはわかっていますよね。

知名度があり、伝統を継承していく老舗企業、まだまだ需要を創り出せる商品や技術力をもっている成長期の事業を引き継ぐのであれば、国内、海外へのマーケティングや販売戦略を賢く行えば、さらに成長できる見込みはいくらでもあるでしょう。

しかし、マーケットが飽和状態になり、売上が下降傾向にある事業、新しい時代のニーズに応える準備のない事業を引き継ぐ経営者は、成熟期から衰退期に突入していくことも想定し、たくさんの改革を行っていかなければなりません。

同じ状況に直面した二つの会社の例

まずここで、2012年に連邦破産法を申請したイーストマンコダックの例を見てみましょう。

イーストマンコダックと言えば、1880年にジョージ・イーストマンによって創業され、130年以上続いてきたアメリカの老舗です。皆さんにもおなじみのポラロイドカメラ、フィルムなど写真用品で大成功を収めた企業です。1900年代のコダックは、画期的なアイデアと技術革新で世界中から注目されていました。

そんなイーストマンコダックがまさかの破産法申請。マスコミでは「デジタルカメラの波に乗り遅れた」とか「旧来型ビジネスからの脱却に失敗した」などと報道されていました。この会社は、レトロな感光剤を使ったフィルムが主力商品だったから、デジタル化の潮流についていけなかったということでした。

ところが驚くべきことに、デジタルカメラを一番最初に開発していたのは、当のイーストマンコダックだったのです!しかも1970年代からその研究は既に始められていたそうです。

技術力も先見の明もあったこの大企業がなぜこのように落ち込んでしまったのでしょう?その大きな要因は、創業者が掲げた「ヴィション」が希薄になってしまったからだったのです。

イーストマンが抱いたヴィションは「世界中の人たちがカメラを持ち歩き、自分の気に入った瞬間をいつでもどこでも記録することができるようにすること」でした。これは壮大なヴィションでしたが、イーストマンコダックは実際、100年かけてその目的をある程度は達成していました。世界中にそのブランドと商品を普及することによって。

しかし、イーストマンが亡くなリ、リーダーが入れ替わっていく中で、創業者が掲げたそのヴィションは、だんだん古臭いものになり、もはや組織を奮い立たせることができなくなってしまっていたのです。その間に、競合各社がどんどん成長してきて、だんだんシェアを奪われるようになっていきます。

「わが社の製品は世界中に普及した。我々は目標を達成したのだ」と高をくくってしまい、時代の変化に対応したり、チャレンジや研究開発に対する熱意を失ってしまっていたわけです。

一方、同じような状況に直面した日本の富士フイルムはどうだったのでしょうか?

当時も、CEOは現会長の古森重雄氏でしたが、メインの写真事業は根幹に残しつつも大規模縮小に踏み切りました。その代わりに新規事業と多角化と2度のリストラを断行し、ビジネスモデルと組織の再編を行うことによって、苦境を乗り切りました。

このような大改革を行う上で、古森氏が掲げたヴィションは「富士フイルムがリーディングカンパニーであり続けること」でした。

これらの二つの企業の命運を分けたのは、組織を存続させようとする決意と、変化に対応する柔軟性の違いであったことがわかりますね。

引き継ぐ事業によってフェーズは異なってくる

冒頭でも述べましたが、この世界では、企業や国家は成長していくか衰退していくかのどちらかです。

成長期にある事業を引き継ぐ経営者と、衰退期に近づきつつある事業を引き継ぐ経営者では、スタートラインそのものが異なってきます。前者は、創業以来の事業目的をそのまま継承しつつ、状況に適した対応をしていけばよいわけですが、後者は、ビジネスモデルそのものを見直したり、新規事業を早急に立ち上げたり、組織を再編するといったことが必要になってきます。

場合によっては、廃業するか、M&Aを受け入れるか、といった究極の選択に迫られることもあるかもしれません。でも、どうせやるからには誰だって「勝利したい」ですよね?そのためには、マーケティングと将来の予測を徹底的に行い、その結果に基づいて、新しい方向性と目的を見定めていくことが最優先になるでしょう。

その次に、組織の再編が必要になってきます。

想定外の壁

しかし、ここで想定外の壁に出くわします。とくに長く続く中小企業においては、新しい経営者が新しい目的や方向性を呈示しても、新しいチャレンジや変化が疎ましがられる現象があるのです。そして、2代目、3代目の後継者の多くがその壁にぶつかることになります。

「自分は嫌われているのでは?」と疑心暗鬼になるのは生存的ではありませんよね。

どうすればよいのでしょうか?中小企業の引き継いだ経営者は、成長期、成熟期を問わず、できるだけ早い段階で「人」を見極めたり、自分のチームを築く知識やノウハウを身につけておくのです。そうすることで、組織内部に捕らわれている注意を外部のマーケットに向けられるようになり、組織を再編する必要に迫られたときにも慌てることがなくなります。

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この研修を受講された2代目経営者の感想をいくつか挙げておきます。

「人に関するストレスを低減でき、その分もっと外に目を向けられるようになり、もちろん業績もアップしました。」(神奈川県 40代経営者)

「二代目として第二創業を実現させるための大きなきっかけとなる研修でした。」(静岡県 30代経営者)

「社長として何をすべきか?という点で大変理解と責任を得ることができました。」(長野県 40代経営者)

パフォーミアは、人の違いを見極め、人を理解する手助け、組織を築くお手伝いをします。手遅れになる前に!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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