ベンチャー・中小の採用戦略(前編)

今年も採用活動の解禁日を迎え、すでに多くの企業が新卒学生獲得のために会社説明会や様々な活動を行っていますね。皆さんの会社の新卒採用はいかがでしょうか?

新卒採用ではとくに、ブランド力のある企業、年収が高い企業、大企業と、無名のベンチャー・中小企業が同じ土俵で戦うのは無理があります。

そこで今回は、ベンチャー・中小企業向けの採用戦略について触れてみたいと思います。

ベンチャー・中小企業の多くが、採用に関して何らかの課題を抱えています。とくによくありがちなのは、新卒採用で「人が集まらない」「辞退されてしまう」といったことではないでしょうか。これらに関して少し見ていきましょう。

「人が集まらない」という状況には、2つの要因が考えられます

最初の要因は、その会社に独立した人事部や採用チームがあるかないかです。大きな会社の組織図を見ると必ず人事部がありますよね。採用の予算ももちろん多いのですが、人事部がきちんと確立されていて、その中に採用チームがあります。そして、年間スケジュールに基づいて、優秀な学生を獲得するということに対して明確なターゲットを持って取り組んでいます。

一方、ベンチャー・中小企業の組織図を見ると、人事と経理と総務を兼任した「管理部」や「総務部」があるだけです。総務担当が片手間で採用活動を兼任し、地元の就職説明会に参加したり求人広告を出すというのが関の山であり、採用活動には集中できていないのです。

もう一つの要因は、ブランディングです。もし求人媒体などに掲載をしてもまったく反響がない、応募がないという状況があれば、自社の隠れた強みや特色を掘り下げていないか、またはPRできていないはずです。これもまた採用チームの欠如が原因なのかもしれません。

「辞退されてしまう」という状況

そして、もう一つの「辞退されてしまう」という状況ですが、内定者が中小企業から大企業に流れてしまうのは、正直、なかなか防ぐ手立てはありません。

しかし、同じような規模感の他社に流れてしまうのであれば、そこにはやはりブランディングの問題があるでしょう。人は通常、貧乏より裕福、不潔より清潔、混乱より安定、苦痛より快楽、つまらないより面白い、暗い職場より明るい職場というように「より良い生存」を求めています。もし皆さんの会社が、他社に比べてここだけは勝っていると言える強みや魅力を持っていない、もしくはPRできていなければ、他社の方がよく見えてしまうわけです。

結果として、多くのベンチャー・中小企業が「うちの会社には良い人材は来ない!」という固定観念をもつに至ります。そして「人を選んでなんかいられない」「来るもの拒まず」というスタンスになり、ミスマッチの人だろうが何だろうが入れてしまうようになるのです。まさに「らせん状悪循環」ですよね。

このような問題を抱えた企業は一体どうしたらいいのでしょうか?

この「らせん状悪循環」を逆向きに解決していくのです!!!

まず皆さんが「うちの会社には良い人材は来ない!」という固定観念をもっているのであれば、その考えを変える必要があります。パフォーミアを導入するクライアントの多くも、最初は皆さんと同じような固定観念を抱えていますが、研修を受けて、ノウハウを知らなかっただけだと気付くだけで、その考えは変わっていきます。

あるクライアントの事例では、社長の考えが変わっただけで、例年には2~3名しか応募がなかった新卒採用で、なんと270人の学生の応募がありました。

次に、ブランディングです。皆さんの会社の強みは何ですか?ここを本当に本当に掘り下げていく必要があります。それは、素晴らしい商品やサービスであったり、魅力的な職場環境であったり、社長のキャラクターであるかもしれません。もしかしたら事業に対する「思い」や「熱意」しか浮かばないかもしれません。それでも、それらをヴィションや強みとしてうまく伝えることができれば、それもブランディングになります。

とくに、部品メーカーやニッチな分野の企業の場合は、そのユニークさ、ニッチさに興味を持ってもらうことがとても重要になります。

当初10名以下の小さな会社だったあるクライアントの事例では、魅力的なヴィションを掲げ、オフィスのリノベーションを行っただけで、(キャリア採用も含みますが)年間2000人以上の応募が集まるようになりました。

そして、人事部や採用チームの確立に関して。本当に人を増やし、社員を教育し、ケアしていくのであれば、人事部の確立はいずれは必要になります。しかし、現状50~100人以下の会社であれば、兼任がやむを得ないという状況もあるでしょう。

当面行うべきこと

忙しいとは思いますが、社長が積極的にフロントに立って自社の強みや魅力をPRする機会をできるだけ多く設けるのです。何といっても社長は企業の顔です。ベンチャー・中小の場合、会社のことを一番考え、一番本気で動いているのは社長です(そうでないと困りますが…)。社長が事業やヴィションをPRし、「この社長の下でなら働いてみたい」と学生に思わせることが、ベンチャー・中小と学生の距離を埋める一番の近道になるのです。

私たちのクライアントでも、社長自ら率先して会社説明会のフロントに立ち、良い学生を引っ張ってきている会社はたくさんあります。

これらを要因を本当に本当に見直してみてください。必ず何らかの変化が起こるはずです。

それでも新卒がとれない! という場合は、戦略そのものを少し変える必要があります。これに関しては、また次回に取り上げたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事

  1. すべてを鵜呑みにしない

  2. 見て見ぬふりをしていませんか?

  3. 求人をひきつけるには

  4. 外国人採用のアドバイス

  5. 雇用のミスマッチとは

  6. ベンチャー・中小の採用戦略(後編)

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。